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発熱外来は、季節性疾患のピークや感染症流行により、来院数が急激に増加します。特に内科・小児科では、通常診療との並行運用が必須となり、フロント・看護・診察介助・事務処理が同時多発的に発生します。この構造的負荷は、現場スタッフの時間外労働を増幅させ、最終的には離職リスクや医療安全の低下にもつながります。
私自身、複数のクリニックから「発熱外来が始まると途端に現場が回らない」「疲弊したスタッフから相談が増える」といった声を数多く受けてきました。繁忙期にこそ、シフト設計と残業抑制の技術が組織の持続性に直結します。
発熱外来の繁忙期シフトには、通常期とは異なる管理視点が求められます。医科特有の動き方を踏まえると、以下の3点が核となります。
発熱外来の受付・導線管理・消毒作業は通常診療と分離されるべきです。このため、受付スタッフと看護師は「通常シフト+発熱外来担当」という従来型の兼務ではなく、ピーク時間帯だけ専属化する配置が必要です。
特に私が支援した小児科クリニックでは、「午前10時〜12時」を発熱外来ピークと分析し、事務2名・看護1名を6週間限定で専属化した結果、院全体の残業が約30%削減できました。
繁忙期は過去データの活用が極めて重要です。
・時間別来院人数
・問診処理時間
・検査件数
・レセプト事務量
これらを基に、負荷量を予測しシフト人数を増減させます。
医科では「午前中集中型」が多く、午後に負荷が落ちる傾向があるため、午前のみ増員・午後は通常運用という柔軟設計が有効です。
検査・誘導・電話対応など役割を細分化し、担当者を固定化することで効率が大きく向上します。さらに、急な欠勤が発生しやすいため、管理職・事務長・外来看護師などから「即時投入可能な代替要員」を設定しておくことが不可欠です。
繁忙期は残業が増えがちですが、医療機関としては以下の理由から抑制が重要です。
・医療安全リスクの上昇
・労基署の指導対象になりやすい
・人件費増大による経営圧迫
・離職率の上昇
ここからは、残業抑制のために私が現場で実践してきた支援ポイントをご紹介します。
診察補助・検査・会計・電話・消毒など業務が混線することで残業が増大します。繁忙期こそ業務を分断し、優先順位を可視化する必要があります。
例えば、電話が鳴り続けるクリニックでは「電話窓口担当」を独立させるだけで、現場の滞留が大幅に減少しました。
発熱外来は診療が延びがちなため、終了時間のルール化は必須です。「14時受付終了」「検査受付は13時30分まで」など、明確な線引きが残業抑制に直結します。
レセプト事務や検査データ整理は、繁忙期には翌日回しの許容範囲を明確にしておくことが重要です。業務負荷が高い日に完結させようとすると、残業が連鎖的に発生します。
私の顧問先では「当日必須業務」「翌日可能業務」に分類した運用ルールを導入し、残業を月30時間から10時間に低減した実績があります。
繁忙期は有給の連続発生を避けたい時期です。
あらかじめ
・繁忙期の日程告知
・推奨取得期間の明示
・勤務調整のルール化
を行うことで、業務負荷の偏りを最小限に抑えられます。
繁忙期は、労務トラブルが最も起きやすい時期でもあります。社労士としては、以下の点に特に注意しています。
繁忙期に限度時間を超過するケースが多く見られます。特に医科は「短時間の積み重ね」が超過につながりやすく、事前の見直しが不可欠です。
紙ベースや遅延報告のクリニックでは、繁忙期になると実労働時間が把握できず、監督署からの指摘につながることがあります。
繁忙期は「新人の離脱」「中堅の疲弊」が増えます。面談制度や業務棚卸しを実施することで、早期察知と対処が可能になります。
最終的に求められるのは、以下の3つです。
・データに基づく柔軟なシフト設計
・業務を分断・可視化した効率運営
・法令遵守を前提とした残業の抑制
繁忙期対応は「やり方次第で過重労働にも、安定運営にもなる」領域です。私が医科の社会保険労務士として関わってきた中でも、シフト見直しと運用ルール整備だけで劇的に改善するケースを多く見てきました。
医療機関が継続的に発熱外来を運営するためには、現場負荷を正しく見立て、計画的に労務体制を整備することが欠かせません。
執筆:特定社会保険労務士 鈴木教大(社会保険労務士法人レクシード)
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