〒322-0039 栃木県鹿沼市東末広町1940-12(鹿沼駅から徒歩5分/駐車場:あり)

受付時間

9:00~17:00
定休日:土曜日・日曜日・祝日

お気軽にお問合せ・ご相談ください

0289-77-7011

混雑時の受付オペレーション最適化(耳鼻咽喉科)

耳鼻咽喉科は季節要因による患者数の急増が顕著であり、特に花粉症シーズンや感染症流行時には受付業務が瞬間的に飽和状態に達する。この混雑を適切に処理できない場合、待ち時間の増大、クレーム増加、スタッフの精神的疲労、さらには労務トラブルに発展する可能性さえある。医科専門の現場を多数支援してきた立場から、受付オペレーションの最適化は単なる“効率化施策”ではなく、労働環境の保護および離職防止の観点からも極めて重要であると強く感じている。

以下では耳鼻咽喉科特有の混雑構造を踏まえ、受付オペレーションを再設計する実務的アプローチを示す。

 

【1 耳鼻咽喉科の混雑要因と受付負荷の特徴】

耳鼻咽喉科は症状の急性度が高く、患者の来院行動が天候や季節イベントに強く左右されやすい。また、短時間診療が多く回転数が高いため、受付に求められる処理件数が他科よりも圧倒的に多い。特に以下の3点が混雑を引き起こす要因として頻出する。

・初診患者の問診量が多い
・小児患者の来院比率が高く、家族対応が複雑化
・処置内容による滞留が発生しやすく、順番管理が難しい

私自身、耳鼻科の顧問先で「受付2名体制でも朝一番の1時間だけで50名以上が集中する」というケースを数多く確認してきた。こうした現場では、属人的な処理では限界が生じ、誰が入っても機能するオペレーション設計が必須となる。

 

【2 受付フローの可視化と“分解・再配置”による最適化】

混雑時に最も有効なのは、受付業務を細分化し、業務量の平準化を図る方法である。一般的な耳鼻科受付は以下のような工程に区分できる。

・来院確認
・問診票対応
・保険証・マイナ保険証確認
・会計準備
・電話対応
・オンライン受付の処理

これらを“まとめて1人で処理する”構造が混雑を増幅させる主因である。私が支援したクリニックでは、作業を「チェックイン係」「問診入力係」「会計前処理係」に分割し、繁忙帯のみ3人体制に切り替える運用を導入したところ、1人当たりの処理負荷が激減し、会計待ち時間が35%短縮した。特に耳鼻科では問診内容が多岐にわたるため、問診入力を受付から分離しただけで流れが劇的に改善する。

 

【3 オンライン受付と順番管理システムの活用】

耳鼻科は順番管理システムとの相性が良い領域であり、導入効果も大きい。混雑時の導線管理が改善され、待合スペースの密集が緩和されるためクレーム対応も減少する。受付の職務負荷を軽減するためにも、以下の運用を推奨したい。

・オンライン受付は“入力漏れの確認担当”を設ける
・順番管理アプリの通知設定を事前案内し、院内説明を統一
・受付時の「今の待ち時間」と「見込み時間」を即答できる体制を構築

これらを徹底することで、患者の不安や苛立ちを抑え、受付スタッフが不必要な説明対応に追われなくなる。実際に導入支援した耳鼻科では、電話問い合わせが40%削減され、受付スタッフの心理的負荷が大きく改善された。

 

【4 受付スタッフの教育体系と“判断基準の整備”】

混雑時には判断を迷う場面が多数発生する。例えば「遅れて来院した患者の扱い」「急患性の高い症状の優先度」「処置室との連携方法」などである。これらが属人的判断に委ねられているクリニックほど混乱が起きやすい。

そのため、以下のような教育体系の整備が重要になる。

・優先度を判断するチェックリストの作成
・特に混雑時の禁止行動(私語、個別対応の長時間化など)の明確化
・医師・看護師と受付間の連携ルールの文書化
・ロールプレイ形式の新人研修

社労士として現場に入ると、受付スタッフが「判断基準がないまま責任だけ負っている」ケースが非常に多く、これが離職の大きな要因になっていると痛感する。基準を可視化し、誰が入っても同じ判断ができる状態にすることは労務環境の安定に直結する。

 

【5 混雑時専用オペレーションの導入とシフト設計】

耳鼻咽喉科の混雑は毎日同じ時間帯に集中しやすく、繁忙帯を見える化すれば“混雑専用オペレーション”を構築できる。具体的には以下の方法がある。

・朝一番の30分を「初診集中対応」として担当者を固定
・繁忙帯のみ受付増員し、閑散帯は別業務と兼務させる
・繁忙日のみ短時間勤務スタッフを配置(学校行事日や雨天日を予測活用)
・混雑時は「最低限の説明のみ」とする簡略モードを採用

私は複数の耳鼻科で短時間パートを“繁忙帯専門枠”として採用した結果、固定スタッフの残業削減と離職率低下に直結した例を数多く確認している。シフト設計とオペレーションの両面を合わせて見直すことが、最も効果の高い改善策となる。

 

【6 クレーム抑制のための受付コミュニケーション設計】

混雑時のクレームは、業務の遅れそのものよりも「説明不足」から生じることが多い。受付スタッフが短時間で適切に説明できるよう、以下を整備しておくと効果が高い。

・待ち時間目安を常に見える化
・混雑時の説明文を統一し、誰が言っても温度感が揃うようにする
・想定問答集(FAQ)を整備し、受付下に配置
・小児患者の保護者向け案内をテンプレート化

これにより、説明品質のバラつきが減り、患者との摩擦が大幅に減少する。社労士として個人的に重要と考えているのは、「スタッフが言いにくい説明は院長が先にルール化しておく」という点である。これによりスタッフのストレスが軽減され、心理的安全性を高める効果がある。

 

【7 まとめ:受付オペレーション最適化は“労務改善”である】

耳鼻咽喉科の混雑時受付は、単なる事務作業ではなく、患者満足度・スタッフ負荷・離職率に直結する重要な労務管理領域である。業務分解・役割明確化・教育体系・システム活用・シフト設計を総合的に整えることで、医療機関全体の安定運営が実現する。

現場に深く関与してきた経験から、受付改善は“即効性のある労務改善施策”として最も効果が高いと確信している。医療特有の運営課題に直面する耳鼻咽喉科こそ、早期に取り組むべきテーマである。

 

 

執筆:特定社会保険労務士 鈴木教大(社会保険労務士法人レクシード)

お気軽にお問合せ・ご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
0289-77-7011
受付時間
9:00~17:00
定休日
土曜日・日曜日・祝日

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

0289-77-7011

<受付時間>
9:00~17:00
※土曜日・日曜日・祝日は除く

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

社会保険労務士法人
レクシード

住所

〒322-0039 栃木県鹿沼市東末広町1940-12

アクセス

鹿沼駅から徒歩5分/駐車場:あり

受付時間

9:00~17:00

定休日

土曜日・日曜日・祝日