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眼科クリニックでは、視力検査、屈折検査、眼圧測定、OCT撮影など、専門性の高い検査が連続して行われる。特に繁忙期や患者層によっては、一つのミスが診療全体の遅延につながるため、スタッフ間の習熟度差はクリニックの運営効率を大きく左右する。私が労務相談で関わってきた現場でも、教育が属人的に行われているクリニックほど離職率が上がり、業務負荷も偏在する傾向が強かった。
まず、眼科検査における習熟度差の背景として、採用時点で医療未経験者が多いこと、機器操作が院内独自ルールで伝承され、標準化されていないこと、検査導線や患者説明が個人判断に委ねられることが挙げられる。このため、経験者がいない時間帯に業務レベルが一気に下がる、検査の取りこぼしや待合室の混雑が慢性化する、スタッフ同士の不公平感が高まるなどの問題が生じやすい。
こうした課題を解消するためには、まず検査スキルを段階的に整理したスキルマップの作成が不可欠である。視力検査やオートレフ、眼圧測定といった基本作業の順序と到達目標を体系化し、OCT・視野検査・散瞳説明など難易度の高い項目は認定制度として扱う。ここで重要なのは、誰が教えるかを明確にし、教育担当者を指名する仕組みを整えることである。担当者の負担を軽減するため、チェックリストを用いた教育の標準化も有効だ。
また、多くの眼科で見落とされがちなのが「患者説明」の教育である。屈折検査や散瞳の説明が不十分であると、クレームにつながったり、診療の進行が滞ったりするケースがある。私が支援したクリニックでは、説明文言を統一しただけで業務ストレスが減り、スタッフ間の連携が大幅に改善した。教育体系には、技術だけでなく、説明スキルやコミュニケーションルールも含めることが望ましい。
さらに、研修の進捗管理を「見える化」することが、人材定着に大きな効果をもたらす。スタッフは自分の成長が分かるとモチベーションを維持しやすくなる。院長や管理者が評価しやすいというメリットもあり、人事評価制度との連動もしやすくなる。実際、進捗管理を導入したクリニックでは、教育担当者の負担感が軽減され、スタッフの離職率も改善した。
今後の眼科クリニックにおいては、検査スタッフが単なる補助ではなく、診療フロー全体の品質を左右する重要な役割を担う。教育体系を整備することは、単なる業務効率化ではなく、医療安全の確保、患者満足度の向上、組織としての成長基盤の構築につながる。労務管理の視点からも、教育体系の有無が職場環境の安定に直結する点を押さえておきたい。
執筆:特定社会保険労務士 鈴木教大(社会保険労務士法人レクシード)
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