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CT・MRI検査連携で発生する業務混乱の予防策(脳神経外科・外来型)

外来型の脳神経外科では、CTやMRIの検査依頼が日常的に発生する。特に診断スピードが求められる頭痛、めまい、意識障害の鑑別では、検査予約・当日対応・読影結果の管理まで多段階の業務が連続しており、ひとつでも欠けると診療効率が大きく低下する。私が医療機関の労務体制整備を支援する中でも、画像検査連携は「属人化」「伝達漏れ」「責任範囲の曖昧さ」が混乱を招く典型領域である。実際、スタッフから「検査枠の調整で受付が止まる」「医師指示が後工程に届いていない」「結果の取り込みが遅れて再診が滞る」といった相談が頻繁に生じる。以下では、外来型脳神経外科に適した予防的運用策を体系的にまとめる。

【1 検査指示の標準化と入力ルールの一本化】

業務混乱の多くは「初動の曖昧さ」から始まる。医師が検査を指示する際、口頭指示や紙メモが混在しているクリニックでは、受付・検査担当への伝達が不均一になり、依頼漏れや予約枠の誤りが発生しやすい。そこで有効なのが、電子カルテ内のオーダー入力ルールを統一し、スタッフが確認すべき項目を明確化することである。たとえば「検査理由」「至急か否か」「外部委託先の選択」「患者説明の有無」などを必須項目として設定し、未入力項目があれば先に進めない仕様にする。社労士として運用フローを整備する際も、まずは「全員が同じ手順書で動ける環境」を作ることが混乱予防の第一歩だと考えている。

【2 CT・MRI枠の事前確保とリアルタイム共有】

外来型の場合、院内に大型検査機器を持たず、連携先の画像センターや総合病院の枠を利用するケースが多い。ここで起きやすいのが、予約枠の空き状況を受付・看護師間で共有できていないために、無駄な往復確認が発生したり、患者待ち時間が増大するパターンである。これを防ぐには、共有カレンダーや予約管理システムを用いて「外来全体で枠状況を同一画面で把握できる環境」を作ることが有効である。また、検査機関と月次で枠の確保契約を締結するクリニックも増えており、一定数のスロットを先に押さえることで、急患対応や繁忙日の混乱を防げる。この手法は、私が支援した脳神経外科でも顕著に効き目があり、受付の確認作業を半減させていた。

【3 患者説明の標準化と「持ち物・流れ」の明確化】

検査連携で混乱を招く背景には、患者側の準備不足から生じる再説明・再対応がある。金属アクセサリーの取り外し、問診票の事前記入、紹介状の持参忘れなど、些細な要素であっても当日の検査時間がずれ込む。これを防ぐには、受付で渡す「検査案内シート」を統一化し、外部機関ごとに必要事項をまとめておくことが重要である。さらに、口頭説明用のチェックリストを用意することで説明の抜け漏れを防ぎ、経験の浅いスタッフでも同品質の案内が実施できる。医療現場では、説明業務の均質化が全体の業務混乱を抑えることに直結するため、社労士としても最優先で整備を推奨している。

【4 結果取り込みと読影伝達の責任範囲の可視化】

検査当日の混乱だけでなく、読影結果の確認漏れも大きなリスクとなる。脳神経外科では微小な異常所見が重要な判断材料となるため、結果の確認遅延は診療上のトラブルに直結する可能性がある。実際、どの職種が結果を取り込み、どのタイミングで医師確認を行い、再診予約へつなげるかが曖昧なまま運用されているケースは少なくない。この問題を解決するには、以下のようなフローを明確に定義することが重要である。

・結果取り込み担当:医療事務または看護師
・読影確認:医師
・患者連絡:受付または診療補助
・再診予約:受付

役割を文書化し、業務フロー図として掲示することで、誰が何を行うかが一目で分かるようになる。私が院内改善を支援した例では、これだけで「確認漏れゼロ」を達成したクリニックもある。

【5 属人化の排除とクロストレーニング】

検査連携業務はどうしても一部のベテランスタッフに偏りやすく、休暇・急な欠勤時に業務が滞るという問題がよく起こる。これを防ぐには、あらかじめ業務手順を細分化し、複数名が対応可能な体制を整えることが不可欠である。クロストレーニングを定期的に実施し、評価制度とも連動させることで「どのスタッフでも検査連携を回せる状態」をつくる。属人化の解消は労務管理上の大テーマであり、私自身が現場に関与する際も必ず重点チェック項目としている。

【6 外部機関との連絡窓口の一本化とトラブル時の対応基準】

連携先とのコミュニケーションが複数経路で行われると、情報の不一致や連絡漏れが発生しやすい。窓口担当者を明確にし、検査変更・急患挿入・機器トラブル発生時の対応ルールを事前に取り決めておくことで、現場の混乱を最小化できる。特に脳神経外科では、急変リスクのある患者が来院するため、緊急時のコミュニケーション速度は診療安全に直結する領域である。

【7 月次の振り返りと業務指標の設定】

検査連携はPDCAで改善し続けることで成熟する領域である。以下のような指標を毎月確認することで、運用の歪みを早期に把握できる。

・予約変更件数
・当日キャンセル件数
・読影結果の確認遅延
・問い合わせ件数
・患者クレーム件数

数値化すると、どこに混乱が生じやすいかが明確になり、改善策を的確に打てるようになる。医療機関の労務改善を長年担当してきた経験から言えば、定期的なモニタリングが混乱予防の最も確実な方法といえる。

【まとめ】

CT・MRI検査の連携は、外来型脳神経外科において診療の根幹を支える重要な業務である。各工程の標準化と情報共有の徹底により、業務混乱は大幅に軽減できる。特に、責任範囲の明確化、説明手順の統一、属人化の排除などは、労務管理の視点でも再現性の高い改善策である。現場の負担を減らし、患者対応の質を高めるためにも、検査連携の運用整備は積極的に見直す価値がある。

 

執筆:特定社会保険労務士 鈴木教大(社会保険労務士法人レクシード)

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